B-1.元興寺尼経 華厳経断簡(一紙)




表具は中回しが濃紺、天地はやや明るい藍の古裂表具。軸端は唐木です。


田中塊堂著「日本写経総鑑」より

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サイズ 本紙 縦233o(余白を含む)、横470o、表具 縦1110o、横590o(軸端を除く)

華厳経巻第三十一、天平勝寳6年(754)元興寺沙弥真證尼写

元興寺の沙弥真證尼よって書かれた一筆華厳経「元興寺尼経」と呼ばれる経の残巻です。
同経は別巻の奥書に「以天平勝寳六年十一月十日沙弥尼真證敬奉繕寫」とあることが知られ、正確な年代と書き手の解る数少ない奈良時代の経です。
書体は官立の写経所で書かれた画一的な文字とは異なり一見稚拙な文字に見えますが、一文字一文字祈りをこめて書いたような文字は実に味わい深いものがあります。(沙弥=若い僧、この場合は若い尼僧)

伝来途中で火難に遭い、天地が焼けて欠損しています。但し文字部分は良く残存し、一部行の最初の一文字を欠くに留めています。
幸いにも虫食い、シミ、汚れは殆どありません。
現状は一紙25行を古裂表具したものです。本紙、表具ともに折れ、シワはありません。