C-2.銅版 御正体(二面) ※左の品オークション出品中


尊像と周囲の覆輪に僅かに鍍金が残ります。



右の品






南無八旛大菩
薩仰願者

謹奉御正體
□□威徳甲申□現世
□宮康伽藍
□□氏□楽


は判読出来ず


左の品





文字が薄くなって読みにくくなっていますが、三行目の末尾付近に干支「甲申」の文字が見えます。
その他に「外宮」、「奉掛御正□」、「宿願現世」等の文字が読み取れます。





サイズ 直径114㎜(二面とも同サイズ)

銅板打ち出し、鍍金、室町時代後期

薄い銅板を打ち出して木製の円盤に取り付けた御正体(懸仏)です。
作りは尊像本体と背面、覆輪を別作りにして鋲止めしただけのもので、天蓋、水瓶、蓮華、獅噛の吊り金具は略されています。
同タイプの御正体は室町時代に作例が多いため、裏の銘文の「甲申」からほぼ制作年代を特定出来る品です。

裏の銘文の筆跡は同一と思われることから、同一人物が同じ寺社に奉納したもののようです。
銘文は元号が略されていますが、干支の「甲申」から推測し室町時代後期の大永四年(1524)の可能性が高いように思います。

保存状態は小型の御正体としては極めて良好です、仏像本体と覆輪の一部に鍍金が残っています。
鏡面は青錆が殆ど出ていないことから、鍍銀または鍍錫が施されていた可能性があります。
鍍金の剥落や左の品の吊り金具となる凸部が欠損していることと、裏の木製円盤に傷みがありますが、他に目立った欠点はありません。

小型の御正体としては、保存状態の良い品です。裏面の銘文も評価に値すると思います。