B-9.紺紙金字経軸端 売約済
側面の花は周囲に3個彫られています。大きさは左右で微妙に異なります。
切断面から不均一な肉厚が確認できます。中は中空で黒く変色しています。
側面に継ぎ目を蝋付けした痕跡が見えます。継ぎ目のないものは×。
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サイズ 先端部直径 およそ18o、全長およそ24o
銅製鍛造、彫金、鍍金、平安末期〜鎌倉初期
半円形の先端部に四弁の花と蕨手、側面の周囲に三弁の花を毛彫りし、すき間に魚々子が打たれた鍍金の軸端です。
伝・中尊寺経の軸端との謂われを持ちますが、中尊寺経は初代清衡と三代秀衡の一切経、二代基衡の千部一日経など膨大な数量の写経が存在し、軸端の作行も様々なため、確実に伝来を証明することは出来ません。
撥形で花弁の彫金を施す意匠は、同時代の紺紙金字経ではもっとも一般的なタイプです。
文様の輪郭線を蹴彫りで浅く彫られた個体も見られますが、それらに比べ彫りが深くシャープな印象を受けます。
保存状態は手摺れが若干見られますが、良好な状態です。
紺紙金字経の軸端は使用状況や伝来により保存状態は様々ですが、制作当初の状態をよく保っています。