サイズ 縦890o、横770o

紙本、木版、彩色、室町時代

室町時代の木版彩色の胎蔵曼荼羅です。
仏教が大衆化した室町時代に多く作られた小型の曼荼羅で、木版で摺った輪郭線をそのまま活かしつつ手彩色を加えた版彩色版の曼荼羅です。
いずれも半間サイズ(表具も含めて90p前後)で、室町時代を通じて多くの作例を残しています。
ご案内の品は墨線の輪郭線を活かしつつも、彩色にも重点を置いた作品で室町時代後期頃の作と推定します。

保存状態は全体に顔料の摩耗、剥落、変色が見られ、本紙自体も経年の傷みが見られます。その他、右上隅の傷みなどが生じています。
表具を何度か改装して今日まで伝えられて来た品で、裏には修理時(江戸時代と思われます)の寄進者の名が墨書きされています。
現状は表具を外したマクリのままですので、軸装、額装などでお楽しみください。

傷みが生じ新信仰の対象としては役目を終えた品ながら、鑑賞用の古美術としてはむしろ趣を増しています。