A-1.伝・妙沢筆不動明王図 売約済


闇から浮かび上がるような荘厳な雰囲気を醸します。







 

サイズ 本紙 縦1035o、横394o、表具 1710o、横526o ※軸端を含まず

伝・妙沢筆、絹本淡彩色、軸装、南北朝〜室町時代

妙沢不動とは、鎌倉時代後期から南北朝時代の臨済宗の僧 妙沢(周沢)の描いた不動明王図で、晩年の20年余り、一年のうち百日間一日一枚の不動明王図を描くことを日課としたと言われます。それらの不動明王図は霊験あらたかと評判を呼び、妙沢の在世中から代筆や版画の多くの作品が世に出たことが知られています。

妙沢筆を言われる品は各地に残りますが、真筆、代筆、模写の区別が付きにくくなっています。
ご案内の品も妙沢筆の伝承をもちますが、落款はなく確実に真筆とする根拠はありません。
しかしながら、妙沢不動の図像を正確に継承していることから、妙沢在世中とさほど変わらぬ時代に制作されたものと推測します。

ご案内の品は、真っ黒に煤けた品を入手し表具を改め本紙に修理の手を入れたところ、元の図像が浮かび上がりました。
墨の濃淡と朱色の彩色のみで描かれた作品ですが、精緻な線描が見て取れます。
本紙の状態は不動明王図の多くがそうであるように、護摩の油煙で黒く煤け、距離をとると図像が不鮮明になります。

表具裏には文政十年(1828)の修理銘、愛知県某古刹の所蔵を示す書付があります。
また、箱には表具裏の「妙沢筆」の古い書付が豪潮律師筆であることが記されています。
最近に修理を施しましたので、本紙、表具ともに折れやシワはありません。
尚、表具裂、鍍金の軸端は文政期の修理時の古裂をそのまま再利用してあります。

妙沢不動をお探しの方には、是非ともご検討頂きたい品ですが、残念ながらデジカメの描写力では表現しきれません。
機会がありましたら、実物をご覧頂きたく思います。