B-1.東大寺八幡経巻第四百七十八 売約済
巻頭部分から三紙までは天地の余白を中心に虫食いが見られます。
五紙目:虫食いは目立たなくなります。
中間部分:文字部分の虫食いはありません。
後半部:とても良い状態です。
巻末部分:後半に紙背の押された黒印が表に透って見えています。
巻末の實寛のサイン
軸に書かれた十七文字の梵字
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サイズ 紙幅263o、長さ10150o、一紙二十七行、二十紙紙繋ぎ
東大寺八幡宮伝来、鎌倉時代 嘉禄二年(1226)〜安貞二年(1228)写
『東大寺八幡経』は鎌倉期に再建された大仏伽藍の安穏のため尼成阿が発願し、多くの僧俗の喜捨を得て東大寺八幡宮(現手向山八幡宮)に奉納された大般若経です。
同時代の大般若経の中にあって美しく装飾された装丁と良質の料紙を持った鎌倉時代を代表する大般若経として知られます。
しかし、明治初年の神仏分離により外部に放出され、一時期西大寺に所蔵されるなど紆余曲折を経て、現在は博物館・美術館をはじめ諸家で分蔵されるに至っています。
今回ご案内の品は、二十紙繋ぎ金砂子で装飾された表紙、金銀砂子の見返し、鍍金の撥形軸、梵字の書付のある軸棒、組紐までが当初のオリジナルです。
敢えて難点を挙げるとすれば天地の余白部分の虫食い、組紐の取り付け部分の竹ひごの傷み、享保二年(1717)の加修の際の裏打で紙背の黒印が隠れて見え難いことくらいです。
同経は大般若経六百巻を書き手が分担したと言われますが、同巻は書き手の名を特定することは出来ませんが、新時代の到来を感じさせる勢いのある文字で書かれています。
尚、大般若経は各巻で長さが異なりますが、二十紙と平均的な長さを持つため、途中の欠落の可能性は少ないものと見られます。
東大寺八幡経は由緒伝来は言うに及ばず、書体の風格、美しく装飾された装幀、鍍金の軸端など、いずれも第一級クオリティーをもった鎌倉時代を代表する写経です。
その後、神仏分離を契機として流転の運命をたどったこともあり、コンディション良好な品は必ずしも多くありません。多くの同経を見てまいりましたが、コンディションは間違いなく良好の部類と言えます。