A-5.図像抄断簡・香王菩薩 売約済
 
 
 よく打たれた良質の紙が使われています。また、紙は黄ばみが生じており、油をひいて透過性を高めて底本を写し取った痕跡が見られます。






桐箱に品物に付いていた書付。

 価格180,000円(消費税・送料込)

 サイズ 本紙 縦265o、横690o、表具 縦10752o、横805o ※軸端を除く

 図像抄巻第七・香王菩薩、軸装

 図像抄は平安時代の末期に永厳または恵什により編纂されたと言われる十巻からなる彩色の施された図像集です。
 永厳、恵什物の編纂したオリジナルは既に失われ、現存するものは全てか鎌倉時代以降の転写本と言われています。

 ご案内の品は鎌倉時代末期の延慶二年から三年(1309〜1310)、仁和寺南勝院に於いて金剛仏子印玄の書写で高野山円通寺所蔵と同系統の写本と見られます。
 円通寺本は後の時代まで転写が繰り返され、後世の写本であっても円通寺本と同じ延慶の年記と印玄の名が記された品が複数存在します。
 (書写された実際の年記は最終巻の巻末奥書にのみ書かれたものが存在します。)
 
 密教図像は素人絵師の手による稚拙な筆遣いが魅力の一つと言われますが、当品は底本の円通寺本と同じく、熟達した絵師の作と判る繊細な線描の品です。
 文字は鎌倉風の力強いもので、文字の印象からは延慶の底本と時代的隔たりが少ないように感じますが、制作年代は鎌倉後期の延慶より下るものとお考え下さい。
 (紙は薄く黄ばんでいるため、油で透過性を高めて底本を写し取る古式の方法が採られています。)

 保存状態は図像、文字書き部分に欠落はありません。(稀に別個体を繋いだものも見られます。)
 本紙に経年の変色、薄汚れはあるものの、虫食いのない良い状態を保っています。
 表具は古裂の茶の無地と雷文と輪宝文の袈裟を解いた金襴を合わせてあります。表具の上部に横に一筋のシワが生じていますが、目立たず鑑賞の妨げにはなりません。
 表具は比較的最近のものです。桐箱付。