B-1.誉田八幡大般若経断簡 売約済
 
 
 光沢のある良質な料紙を使用しているため一部反射が見られます。

 

 
 紙背の花押

 誉田八幡宮伝来 大般若経巻第五百三十八、永承元年(1046年)

 サイズ 本紙 縦259o、横292o、額 縦365o、横445o
 
河内の誉田八幡宮に伝わった大般若経。
巻第百七十八の奥書に永承元年写(1046年)の表記があることから、書写年を特定できる経です。
尚、現在は誉田八幡宮からはすべて失われ、一巻も伝わっていないと言われます。

この経について、田中塊堂著述に「未だ和様體になじまない筆致」とあります。
しかし、大般若経全六百巻は複数の書き手が担うため、全ての経がその限りではありません。
ご案内の品は塊堂氏の著述の通り、天平経の謹厳さと平安の経のしなやかさを併せ持った筆致の経です。
また、この経の特徴としては、光沢のある料紙、紙背の所々にある花押があげられます。
ご案内の品は一紙に満たぬ断簡ながら紙背に小さな花押が入っています。

由緒伝来も重要ですが、純粋に文字の美しさをご堪能いただける品と思います。

〇保存状態他
本紙に虫食い、額のマットに薄いシミが生じています。
六行ごとに折り目がありますが、後世に折本に改められたものです。

〇資料
国会図書館デジタルコレクション(誉田八幡大般若経)