A-7.小涅槃図 売約済


PCでご覧の方は縦サイズを100o程度に調整してご覧ください。


部分拡大図:横幅5p余りのスペースに細密な描き込みがされています。まさにamazing!

 


古い木箱に納められています。

サイズ 本紙 縦106o、横59o、額 縦390o、235o

絹本著色、額装、室町時代

縦寸法106oの涅槃図です。
巨大な作例の多い涅槃図の中にあって、掌に納まってしまうサイズの品です。
作風は小品でありながら構図に省略がなく、40を超える人物、天女、夜叉、動物が描かれ、いずれも肉眼で判断できないような細部にまで緻密な描写がされています。
画絹の質は足利絹と呼ばれる中世特有の目の粗い絹で、彩色は裏箔を用いて釈尊の周辺が柔らかな光沢で包まれる演出がされています。
制作年代は重厚感のある色彩、画絹の質、時代感から室町時代を下るものではないと判断しました。

保尊状態は経年の傷みが少々ありますが、特に目立った傷身はありません。
額は古い時代に作られた細縁の塗額で、ガラス、アクリルは入っていません。

かつて小型の法華経の見返しに付けられた極小涅槃図を扱ったことがありましたが、近世初頭の紙本の品で一回り大きく横の構図で描かれたものでした。
今回ご案内の品は絹本であり、縦の構図であることから、当初から単独の涅槃図として描かれたものと解ります。

省略のない涅槃図としては、おそらくは国内最小クラスの品と推測します。
作行、保存状態共に良好な逸品です。