C-6.阿弥陀如来 魔鏡 売約済
サイズ 直径216o、縁高7o
銅鏡、江戸時代
背面に南無阿弥陀仏の六字名号が陽刻された鏡で、鏡面に強い光を当てると阿弥陀如来像の画像が浮き上がる魔鏡と呼ばる摩訶不思議な鏡です。
作りは鏡面と文字面の二重構造から成っており、鏡面の裏に阿弥陀如の像が刻まれており、それは二枚の間に密閉される形で仕込まれています。
画像が映る構造は、鏡面側を極限まで研ぎあげることで、肉眼では見えない凹凸を作り出し、強い光をあてると画像が浮かび上がる仕掛けです。
おそらく江戸時代に布教の演出に用いたものと推測します。
背面の文様が投影されるだけの魔鏡に比べ、二重構造の品は手間がかかり高度な技術を要したものと思われます。
(二枚の鏡を合わせた鏡の厚みは縁の立った部分を除くとおよそ5ミリ程度です。)
保存状態は鏡面の鍍金に摩耗が見られ一部下地のブロンズ色が露出しています。
しかしながら、太陽光を当てますと朧げに放射光を放つ阿弥陀如来の尊像が浮かび上がります。
浮かび上がる画像は古い魔鏡としてはコンディションは上々と見てよいかと思います。
現代でもレプリカを作る方がおられるようですが、鏡面を研ぐだけで1ヶ月を要するという話を聞きました。
近代になり作られたレプリカも稀に見られますが、今回ご案内の品は明らかに前近代のものです。