A-3.如来荒神図 売約済 







  
 

サイズ 本紙 縦927㎜、横387㎜、表具 縦1710㎜、横532㎜ ※軸端を含まず

絹本著色、軸装、室町時代

日本古来の神である荒神と密教の尊格が習合した一面六臂で描かれる如来荒神図。
像容は金剛薩埵と愛染明王が融合したものに近く、五智宝冠を頂き第一手に五鈷杵と五鈷鈴を持つ姿は金剛薩埵、六臂の姿で宝瓶の台座に乗る姿は愛染明王に似ます。
但し持物は愛染明王とは異なり、右第二手には宝塔、第三手は蓮華、左第一手は火焔宝珠、左第三手は羯磨を持っています。

様式は月輪の中に蓮台が全て収まる古式の密教絵画、別尊曼荼羅の則って描かれています。
作行は截金もなく密な描き込みはありませんが、輪郭線は細く繊細な線で引かれ、身体は裏箔、密教法具、宝冠、宝瓶は金泥、蓮台はグラデーションの付けられた紅蓮華で描かれるなど絶妙な配色が見られます。

保存状態
室町時代特有の目の粗い画絹に描かれているため、厚塗りの箇所の剥落が目立ちます。
特に月輪の白(鉛白?)、二重光背の身光の群青色、宝瓶の下の蓮弁に著しく、格子状の地面にも表面の摩耗が見られます。
画絹はいくつかの折れの痕跡が見られますが、裏からの入念な修理がなされており、現状で折れ、シワは見当たりません。
表具は比較的近年のもので、控えめな光沢の牡丹柄金襴と朱色の古裂金襴が合わされ、軸端は撥形の鎌倉彫が付けられています。
箱は古い桐箱で箱書はありません。

室町時代の作品です。時代を経て傷みが生じていますが、むしろ風格は増していると考えます。
入念な修理も+評価の品です。