C-3.檀像十一面観音立像(長谷寺式) 売約済







 

 

 
光背の十一文字の梵字はすべて「キャ」が彫られています。厨子(箱)は落とし戸式の木箱です。
 

サイズ 像本体83o
     台座光背を含む137o
     厨子165o 

木彫、室町時代

右手に数珠、左手に水瓶、十一文字の梵字の刻まれた舟形光背を持った長谷寺式十一面観音像です。※1.
作風は精緻かつ静謐で、童顔の丸顔で気品のある面相が印象的です。
像本体は右手の小さな数珠まで一木から削りだした驚異的な品で、台座・光背に至るまで隙の無い作りでまとめられています。
現状は真っ黒に煤けていますが、元来は無彩色の檀像です。※2

保存状態は両足先の破損、向かって左側の天衣の欠損、台座の左側上部の框の部材に欠損があります。
いくつか経年の傷みがあるものの、鑑賞を大きく妨げるような傷みはありません。
尚、台座光背は厨子(落とし戸の箱)に固定されており、取り出すことが出来ません。

製作年代はやや頭部の大きい身体バランスなどから室町時代と推定します。


※1. 通常、長谷観音は右手に錫杖を持ちますが、ご案内の像は錫杖を欠損した可能性が高いように思われます。
但し、全国に存在する長谷観音の中には、錫杖や梵字の光背を持たないもの、あるいは錫杖を後から加えたものなど種々存在するようです

※2.檀像=本来は白檀などの香木で作った無彩色の像の呼び名ですが、国内で産出しないため桜材などを代用した像が多く作られました。