A-3.長谷寺式 十一面観音図





 


表具は元表具の金襴をそのまま流用して仕立ててあります。軸端は蓮華文の彫金金具です。(鍍金は全て剥がれています)


被せ蓋の古い桐箱に入っています。

価格260,000円(消費税・送料込) 

サイズ 本紙 縦870o、横395o、表具 縦1590o、横519o ※軸端除く 

絹本著色、江戸時代

右手に錫杖、左手に水瓶にさした蓮華、十一文字の梵字の刻まれた舟形光背を持ち盤石の台座に立つ長谷寺式十一面観音図です。
脇侍は難陀龍王(右)と雨宝童子(左)を従えた三尊形式で、絵画化された長谷観音はこの三尊形式をとることが多いようです。

作風は突出した特徴はないものの、輪郭線の美しい至って正統派の長谷観音図です。
丸顔の柔和な面相、裏箔の肉身が放つ柔らかな輝き、発色の穏やかな彩色など、密教画と比べとて全体に穏やかな印象を与えます。
尚、製作年代は配色などの印象から、表記の時代より若干遡る可能性も考えられます。

保存状態は光背の梵字に剥落が見られますが、入念な修理が施され、極上のコンディションを保っています。

長谷観音信仰は全国に広がり、長谷観音と呼ばれる寺院は大和、鎌倉をはじめ数多くありますが、仏画で絹本の作例は意外に少ないようです。