A-2.胎蔵曼荼羅残欠 大安楽不空真実菩薩




本紙が不定形のためマットを切ると右下に余白が生じます。余白部分は裏から同系色の古い紙を充ててあります。


額は木製縁にモスグリーンの布張りマットを切ってあります。

価格85,000円(消費税・送料込) 

サイズ 本紙 縦 80o、横 62o、額 縦270o、横 220o  

絹本著色、額装、室町時代初期(応永年間)

室町時代最初期の応永年間(1394〜1428)に描かれた胎蔵曼荼羅の遍知院の大安楽不空真実菩薩です。
遍知院は胎蔵曼荼羅の中台八葉院の上(東方)に位置し、中台八葉院の八尊と同じ大きさで描かれる主要部分です。
大安楽不空真実菩薩とは普賢延命菩薩のことで、二十臂の坐像で描かれる尊像です。

作風はまず線描の美しさ、正確さが目を引きます。拡大画像で確認すれば
また、図像は拡大画像でもバランスに破綻がなく、密教図像集からそのまま書き写したような古風な姿で描かれています。

保存状態は彩色の剥落が見られます。
目の粗い画絹に裏から紙を充てて彩色が施されているため、色の抜けは多くありません。

尚、伝来は判っておりませんが、応永年間の銘があったことが知られる品です。


大安楽不空真実菩薩は普賢延命菩薩ともいわれ、増益・延命の三昧に入っている姿を特別に尊格化したものである。
普賢(サマンタバドラ)とは元来、すべてに亙って賢く、しかも善であるという意味であるから、その内実として幸福、長寿の願いが込められている。
大法輪閣刊「曼荼羅図典」より抜粋