C-6.阿弥陀三尊坐像厨子仏 売約済


向かって右の脇侍が合掌した勢至菩薩、左が蓮台を持った観音菩薩です。通常とは左右逆の配置です。


中尊の身光はたなびく雲を表現しています。


脇侍は片膝をたてた姿勢をとっています。



サイズ 中尊およそ70o、脇侍およそ45o ※中尊、脇侍は本体のみの高さ
     厨子扉184o、厨子全高220o、厨子全幅195o  

木彫漆箔、黒漆厨子、桃山時代〜江戸時代前期頃

来迎形式の阿弥陀三尊坐像の厨子仏です。
たなびく雲に乗り来迎する阿弥陀如来と観音、勢至菩薩の三尊が木彫で表現されています。
三尊の乗る雲のデコラティブな表現に比べ、三尊の誇張の少ない静的な表現が好対照です。
特に中尊はスッキリとした素地仕上げで、滑らかな躰の線、清凉寺式の頭髪に静的な面相、ゆったりと流れるような衣が巧みに表現されています。
尚、脇侍が通常の並びと左右逆になっていますが、このような作例は稀に存在するようです。

保存状態
中尊の鼻周辺と頭髪の一部、勢至菩薩(向かって右)の顔と合掌した手に擦れが生じています。
その他は中尊の身光の向かって左のたなびく雲の先端に小さな欠損があります。
いずれの傷みもスポットライトを当てて子細に見れば判別できますが、室内で見る限りでは全くと言ってよいほど判別できません。
黒塗りの厨子は時代を経て表面が透過性を高めやや茶色がかっています。
塗はところどころにアタリや小さな剥がれはあるものの、浮きはありません。内側の金箔も浮き剥がれはありません。。
鍍金の前金具、蝶番はいずれも健全で、扉の建付けも問題ありません。

小さな厨子の中に速やかに来迎する三尊の姿
を苦心して制作した様子が伺えます。
なかなかの労作ですが、評価すべきは三尊の秀逸な作行と見ます。