B-6.金銀交書法華経断簡一紙(伝道風筆)
軸端は根来です
右斜めから撮影の画像:銀文字の状態がお判り頂けると思います。
田山方南氏の箱書に「中尊寺・・・」とありますが・・・・
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サイズ 本紙 縦250o、横 509o、界高202o、界幅およそ18o、表具 縦1150o、横532o ※表具幅は軸端を含まず
紺紙金銀交書法華経巻第二 譬喩品第三、軸装、平安時代中〜後期
三蹟のひとり道風筆とされる金銀交書法華経の断簡一紙28行です。
古典籍研究の大家 田山方南氏の箱書に「金銀交書中尊寺・・・」とありますが、現在の研究では中尊寺経よりもひと時代古い11世紀の写経と認められる品で小野道風の名があてられる経です。(10世紀とする説もあり)
書風は和様の穏やかな書風で一紙に渡り書風やピッチの乱れはなく、終始一糸乱れる文字が並びます。
道風の名はこの経の見事さから後世の者があてたものであり、真筆とは考え難いものの、天下の能書家 道風の名を語るにふさわしい経です。
尚、中尊寺の金銀経が能書家の手によるものから素人風まで書風が様々であることに対し、ご案内の経は別個体も含め一貫して極めてハイレベルな作行を見せています。また、希少性においても中尊寺の金銀経とは比較になりません。
唯一惜しまれるのは銀文字が時代とともに酸化して黒く変色し、紺紙と同化したように見え難くなっていることがあげられます。
画像では乱反射も手伝い余計に見え難くなっていますが、文字は消えておらず、角度や照明を工夫すると文字が浮かび上がります。
保存状態は本紙下部の余白に虫食いと10行目に軽い縦シワが生じています。
その他には表具も含めて気になる欠点はありません、
現状は一紙を掛軸に仕立ててあります。
表具は無地の古裂を用いた簡素なもので、本紙をよく引き立てています。
参考までに
五島美術館蔵の重要文化財指定の品に、ご案内の品の同じ法華経巻第二 譬喩品第三がありますが、画像で見る限り同筆と思われます。
法華経を同筆で同時期に複数書写した可能性もありますが、由緒伝来に関しては不明で、書写された当初の姿は判っておりません。
参考資料リンク↓
紺紙金銀交書法華経 巻第二 伝 小野道風筆 | 公益財団法人 五島美術館