D-3.春日舎利厨子
白く見える部分は補修と思われます。ライトを当てると目立ちますが、肉眼では気にならないレベルです。
↑↓厨子本体は極めて薄く出来ています。
向かって右扉
向かって左扉
価格286,000円円(本体260,000円+消費税26,000円) ※送料当方負担
サイズ 高さ425o、基壇部最大幅475o、基壇部奥行230o、厨子扉高さ245o、厨子部分幅301o、厨子内部奥行55o
木造漆塗り、金具、江戸時代後期(天保十三年:1842)
春日舎利厨子と呼ばれる四隅が緩やか反った屋根を持つ薄型の厨子です。
同型の厨子は鎌倉〜南北朝期の名品がよく知られますが、それら名品を基に江戸後期の天保十三年(1842)に写したものです。
左右の扉には蓮池の絵が描かれています。
左の扉絵に銘文があり、「天保十三年 歳次壬寅 正月二十三日 御子左藤原朝臣為恭謹作之拝」との墨書があります。
作者の藤原朝臣為恭(ためちか)は江戸後期の大和絵師 冷泉為恭で、春日権現験記絵の復元模写をしたことで知られる人物です。
扉絵はシンプルな図柄ながら、大和絵独特の緑青と薄紅の美しい彩色が見られ、年月を経てより色調に深みを増しています。
保存状態は背面に部分補修の痕跡、小さなアタリがあります。その他、扉絵の顔料の剥落が若干見られます。
各種金具は健在で木地の歪みや塗の浮きはなく、金具、指物、塗は堅牢に出来ています。
現状では厨子の中には何も納入されておりませんが、奥行の少ない形状からレリーフ状の舎利容器や春日信仰に纏わる絵画が納められていたものと考えられます。
薄型の厨子ですので用途が限られますが、厨子そのものが鑑賞の対象になりうる品です。