A-6.図像抄断簡 馬鳴曼荼羅 


図像と文字部分は色が異なりますが、図像部分は油を引いて神の透明性を高めて転写したためと思えわれます。








桐箱入

価格154,000円(本体140,000円+消費税14,000円) ※送料当方負担

サイズ 本紙 縦272o、横575o、表具 縦1045o、横642o ※軸端を含まず 

紙本著色、軸装

図像抄巻第五収録の馬鳴曼荼羅馬鳴菩薩(めみょうぼさ)曼荼羅です。
白馬に乗り一面六臂の姿が馬鳴菩薩の周囲に唐服の人物が蚕命、蚕印、蚕母、蚕室の諸童子、馬を先導する人物、馬の手綱を取る人物の啓請供養弟子を従えた構図で描かれています。馬鳴曼荼羅は簡素な図像の多い図像抄の中でとりわけ賑やかな図像といえます。

図像解説をした文字は図像を中心とした見映えを重視したものか、二分割されて左右に配置されています。(文字部分は左右逆に表具してあります)
描かれた図像は輪郭線が美しく、手慣れた印象を受けますが、それに引き換え文字は鑑賞目的の書画ではありえないような個性的なものとなっています。これは鑑賞用の書画とは異なった性格を持った密教図像ならではのものと好意的に考えたいところです。

保存状態は本紙に薄汚れがありますが、特に大きな欠点はありません。
表具は紫地の古裂の銀襴を用いたもので、古びてはいるものの問題のない状態を保っています。

誇張のある個性的な文字ですが、室町時代に書かれた実用的な素紙大般若経に似た書体を見かけます。
おそらくは中世の後期、室町時代の作とみてよいかと思います。