A-10.日吉山王曼荼羅(山王神道)















価格 220,000円(本体200,000円+消費税20,000円、送料込) 

サイズ 本紙 縦897o、横393o、 表具 縦1670o、横522o 
※軸端を含まず

絹本著色、軸装、江戸時代

江戸時代に描かれた日吉山王曼荼羅
です。
表具に三つ葉葵紋空も解るように、天台僧 天海僧正により提唱された、山王一実神道の影響で描かれたものと推定されます。

日吉山王曼荼羅は大別して宮曼荼羅、本地仏の姿で描かれた本地仏曼荼羅、垂迹神の影向した姿を描いた垂迹曼荼羅がありますが、ご案内の品は垂迹曼荼羅に分類される品です。垂迹曼荼羅は中央の大宮を僧形で描くものと唐服の俗人形で描いたものがあり、ご案内の品は後者に当たります。

垂迹神の並びは社殿内に後屏を立てて鎮座する日吉上七社のうちの三宮、八王子を上段に、聖真子、大宮、二宮を中段に、客人、十禅師を下段にの外陣に早尾、大行事(すべて左から右)、さらに神の使いの三猿で構成されています。

作風は発色の良い顔料を用い、極めて細密な描き込みがされています。殊に人物の服装は極めて多彩な色彩を使い分けて描かれています。
通常、垂迹神の面相は表情に乏しく、似通ったものになりがちなところ、それぞれに個性を持たせて描かれています。
また、上部の御簾の奥の遠景には、二羽の鳳凰と桐が金砂子と金泥を用いて色彩豊かに描かれています。

保存状態は折れやシワがなく、昨今の作のような印象すら受けますが、子細に見ますと経年の時代色が付着していることが判ります。
本紙には上部の御簾の周辺にごく小さな虫穴がありますが、目立たないため裏からの部分補修にとどめてあります。
表具も同じく金襴・銀襴部分に虫穴がありますが、裏から部分補修がしてあります。

表具は上部の八双と表具裂の接合部分に傷みが生じていたため、部分的に仕立て直してあります。
表具は江戸時代のもので、青地の雲文と三つ葉葵紋の金襴、銀欄の取り合わせて仕立てられています。
取り付けられた蓮華文の金具はいずれも高品質なものが使われ、鍍金はまったく色褪せていません。

伝来を示す手掛かりなないものの、葵の紋章からも解るように、家康公を祀る全国の東照宮または日枝神社など徳川家所縁の神社に祀られた品の可能性が高いように思います。
おそらくは初年の神仏分離により、神仏習合の神社から仏教色が廃されたため流出に至ったものと推測します。

緻密な描き込みで気煌びやかな作風から察して、時の権力に近い有能な絵師の作とみて間違いはなさそうです。

製作年代は寺院の什物のような燻煙の汚れがないため古く見えませんが、江戸時代中〜後期頃の作のような印象です。
古色蒼然とした品ではありませんので、古美術ファンの心に響くかは別として、江戸時代ならではの緻密な画風の垂迹曼荼羅です。