B-5.元興寺尼経断簡一紙
田中塊堂著の「日本写経総鑑」P211.212解説
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紙本、軸装、華厳経巻第三十一、奈良時代平勝寳六年写
サイズ 本紙 縦235o、横469o、表具 縦1100o、横588o ※軸端を含まず
天平勝寳6年(754)元興寺の沙弥真證尼書写の一筆華厳経「元興寺尼経」の断簡です。
同経は別巻の奥書に「以天平勝寳六年十一月十日沙弥尼真證敬奉繕寫」とあることが知られ、正確な年代と書き手の解る数少ない奈良時代の経です。
書体は官立の写経所で書写した経と異なり一見稚拙な文字に見えますが、一文字一文字祈りをこめて書いたような文字は実に味わい深いものがあります。(沙弥=若い尼僧)
画像の一番下は田中塊堂著の「日本写経総鑑」P211.212解説です。
保存状態
伝来途中で火難に遭い、沙門海蔵により補修されたことが解っています。
上下に焼痕を残しますが、幸いにも文字部分は良く残存し、最初の一文字を部分的に欠くに留めています。
表具は一文字風帯に古裂を用いたもので新装しました。
名前はよく知られる経ですが、正倉院の聖語蔵に2巻所蔵される他、民間で僅かに分蔵されるにすぎません。
今からおよそ1260余年前に書かれた貴重な写経です。