C-1.廻国納経 金銅六角宝幡形経筒

この画像のみLEDライト、ノーフラッシュで撮影。室内でライトを当てて鑑賞した時に近い感覚です。
以下の画像は図像や文字、文様をご覧いただくためフラッシュ用いて撮影したものとなります。






桐箱入
価格253,000円(本体230,000円+消費税23,000円)
サイズ 高さ143o
金銅製鍛造、彫金、室町時代後期
室町時代の後期の六十六部廻国納経のために作られた六角宝幡形の経筒です。
六十六部廻国納経とは法華経を書写して廻国聖に託し、全国六十六カ国の霊場に奉納、埋納したもので、その流行は鎌倉時代に始まり室町時代に隆盛を極めたと言われます。
廻国納経の経筒は全国で400余りが発見されていると言われますが、その中で六角宝幡形経筒の数は30基とも40貴とも言われています。
(民間に埋もれた品がもう少し存在するように思われます。)
ご案内の六角経筒は小型ながら全体が鍍金で覆われた華美な作りで、燈籠形の傘を持ち、当初は笠の先端からは瓔珞が下がっていました。
各部の意匠は、反り上がった笠形に宝珠を頂いた蓋を持ち、笠には唐草文、経筒本体下部に縦線、台座は荷葉座で葉脈が毛彫されています。
作りは薄い銅板の鍛造で、廻国聖が笈で持ち運ぶことを前提に極めて軽量に出来ています。
現状は瓔珞と中身の経が失われていますが、破損個所は皆無と言ってよく、およそ400数十年が経過した品と考えれば上々のコンディションです。
台座の荷葉座が波打っており、揺らすとガタがありますが、破損はなく鑑賞するにあたっては正しく直立します。
保存状態は、現在までに実見した同型の品の中では博物館所蔵の品も含めて、もっともよいコンディションです。
同型の経筒の文様や銘文の共通項があり、正面に如来の図像、右に十羅刹女と廻国聖または、左に日付が刻まれています。
正面の図像の下の銘文が一部判読しにくくなっていますが、およそ次のように刻字されています。
正面 釈迦如来図像 奉納経・・・聖
右側 十羅刹女 武州秀誉上人
左側 三十番神 當年今月吉日

年月日を正確に記した例は少なく、納経の日にちが予め特定出来ないため「當年今月吉日」と幅が持たせてあるようです。
尚、納経された場所の情報はありません。
同経筒は納経の企画、発案者が統一規格で複数を作り、結縁、奉納者を募り、銘文のみ個々の要望にあわせて刻字したもののようです。
廻国納経は末法思想とは関連のない別の思想による納経ムーブメントであったと言われます。
銘文にある誉号を持つ浄土教関連と思しき人物が法華経の奉納に関係するなど、中世末期の混沌とした信仰を感じさる品です。


