A-5.如来荒神図


蓮弁と上部の宝珠には繧繝彩色の彩色が見られ、輪郭線輪郭線や襞には控えめながら截金で表現されています。


価格385,000円(本体350,000円+消費税35,000円) ※送料当方負担
サイズ 本紙 縦830㎜、横347㎜、表具 縦1770㎜、横492㎜ ※表具横サイズは軸端を含まず
絹本著色、軸装、室町時代
日本古来の神である荒神に密教の金剛薩埵と愛染明王が習合した如来荒神の図です。
図像は一面六臂で月輪を背にして宝瓶上に坐し、各腕に密教法具や蓮華を持った姿で描かれています。
輪郭線は明確かつ柔らかみのある曲線で、肉身部は繊細な線で描かれ、蓮弁と衣の輪郭、衣の襞は控えめながら截金で表現されています。
彩色は仏画の伝統的な彩色技法である繧繝彩色(段階的に色を塗り分けるグラデーション)を用いるなど、互いの色を引き立てる配色がされています。また、背景の浅葱色は室町時代の仏画に多用されたもので、背景色の明るさがこの仏画を一層華やかに見せています。
保存状態
室町時代特有の目の粗い画絹に描かれているため、彩色の退色、剥落があり、特に頭光や宝瓶の緑青に顕著に見られます。
画絹はいくつかの折れの痕が見られますが、表具の改装時に修理の手が入っており、現状で目立った折れ、シワは見当たりません。
本紙表面には時代の汚れがあるものの、密教系の仏画には珍しく香や護摩の煙に燻されていません。
尚、本紙の横幅は伝来途中に何度か修復を繰り返したため、若干狭くなっている可能性があります。
表具
表具は近年に修理、新調されたもので、雲文の高野裂と古裂金襴の組み合わせに蓮華文の彫金金具の軸先で仕立てられています。(鍍金は摩耗して残っていません)丁寧な修復がされており、手直しが必要な個所はありません。
古風な面相や伝統的な彩色から、古い時代の曼荼羅や密教絵画をモチーフに描いたものと推測します。
繊細な線と華やかな彩色が際立った仏画で、室町時代の仏画としては出色の出来栄えです。


