B-4.薬師寺八幡経断簡








紙背の薬師寺八幡宮印を際立たせるためコントラストを強くした画像です。
黒印のほか最終行に朱印が押されていますが、残念ながら判読できません。


紙背の黒印の表面の画像の鏡文字(左)と田中塊堂氏編の「日本写経総監」掲載の黒印(右)です。

 


価格 286,000円(本体260,000円+消費税26,000円) ※送料当方負担

サイズ 本紙 縦22o、横267o、界高240o、界幅およそ20o、表具 縦1160o、横390o ※表具横は軸端を含まず 

紙本墨書、大般若経巻第227、薬師寺八幡宮伝来、奈良時代、軸装

奈良西ノ京薬師寺に伝わった経で、紙背に「薬師寺八幡宮」の黒印をもつ大般若経の断簡です。
古筆研究家の田中塊堂氏によれば、著書「日本写経名鑑」において「現在正倉院聖語蔵に大般若経二百巻を蔵しているが、これも新古を集めて一具としたものである」とあります。同書によれば藤原、鎌倉の経も含まれるとされますので、興福寺永恩具経と同じく鎌倉時代以降に集められた経のようです。

最終行から数えて3,4行目に刻印が裏から透って見えています。「日本写経総監」に掲載の印と比較し同版であることが解ります。(鏡文字にした画像をご参照ください。)
書体をみれば典型的な天平経ですが、界線の規格が一般的な天平経よりやや大きく、文字の間隔を大きくとってあります。
また、料紙は天平経に多く用いられる麻紙ではなく、楮紙の可能性が高いように見えます。
薬師寺八幡宮で一具の経とする以前の伝来は不明ですが、写経所の経ではなく寺院や個人の発願経のような印象を受けます。

保存状態、表具など
本紙に虫食いが生じています。また、天地の余白が切り詰められています。
表具は牡丹柄の古裂金襴で仕立ててあります。表具自体に傷みはありません。
軸端は唐木調の撥形。箱付です。