B-7.紫紙金字法華経断簡(国分尼寺経)

上の界線は摩耗で消えています。銀の罫線は残存しています。

下部の欠損部分。
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サイズ 本紙 縦260o、横51o、表具 縦1170o、横258o ※軸端を含まず
紫紙金字経、法華経如来寿量品第十六、平安時代初期
紫紙に銀界、金字で書かれた法華経の断簡三行です。
奈良時代の天平十三年(741)聖武天皇の命で全国に国分寺および国分尼寺が建立され、国分寺には「紫紙金字金光明最勝王経」、国分尼寺には「紫紙金字法華経」が一部づつ納めたられた言われます。それらの経は各々「国分寺経」、「国分尼寺経」の呼称で知られます。
この度ご案内の品は、国分尼寺施入の伝承を持つ「国分尼寺経」と呼ばれる紫紙金字法華経の断簡です。この経はかつては国分寺経と同時代と考えられていましたが、近年においては柔らかみのある書体から、平安時代初期とする説が一般的です。
保存状態など
紫紙金字経の中で最もクオリティーが高いとされる国分寺経とご案内の経を比較しますと、紫紙のツヤや染の深さ、金字の輝きで一歩譲るものの、紫紙は彩度がよく保たれており、金字がよく映えています。また、五文字偈の部分で文字数が多く華やかな印象を受けます。
総じて保存の良い個体ですが、唯一下部の余白にU字型の破れがあり、そのため最後の文字の左端が僅かに欠けています。欠損した部分は同色の紙が充ててあり、至近距離でないと殆ど見分けがつきません。
表具は薄い鶯色の古い高野裂と古金襴の合わせで、軸端は金軸です。表具の状態は頗る良好です。
紫紙金光明最勝王経>紫紙金字華厳経≒紫紙金字法華経のような印象です。
よく知られる経ですが、稀に断簡が民間に出る程度の極めて希少な経です。


